孫子兵法

孫子兵法

脳力開発とは

 脳力開発と、それに基づいて形成された情勢判断学は、人間の世界を、楽しく、愉快に変えてゆく活動である。困った困ったと頭をかかえ、難しい難しいと額にシワをよせ、うまくゆかない、なんで世の中はこう思うようにゆかないのだと嘆き、恨みつつすごす人生を、楽しく、愉快に、易しく解決し、明朗で素敵な人生に変えてゆく活動である。

なぜ困ったり、嘆いたりするのか

 困った困ったと嘆くのは、自分の希望することが、予定どおりに実現されず、実現できる方法が見つからない時の状態である。できる方法が見つかり、一つ一つ実現されてゆく過程に入れば、何も困ったり嘆いたりすることはない。

 人間のできることは三つしかない。口を動かすこと、手を動かすこと、足を動かすことである。それ意外には何もできない。だから、できる、できないと悩んだり騒いだりしているのが、つまるところは、希望が実現できるようにロと手と足を動かすか、それとも、実現できないようにロと手と足を動かしているかというだけの差である。

 ロと手と足を動かすことには変わりはないのだから、どちらが難しいか易しいという問題にはならないのだ。 ただ、今やっている動かし方では目的達成がうまくゆかぬというだけのことで、その経験を土台にして、うまくゆくように口と手と足を動かせばよいのである。今うまくゆかぬというのは、失敗ではなく大事な経験であり、うまくゆく動かし方を逆の面から表示してくれているわけである。うまくゆかぬのに頭をかかえて困っているというのは、口と手と足の動かし方は無限に近くあるのに、今やつている動かし方しかないものとさめこんでいるからにすぎない。

 一枚の紙にも、表があればいつも裏がついている。表だけの紙はこの世の中に存在しない。右の角があれば左の角があり、上があれば下がある。だから一枚の紙も、表だけ見ていては紙の全貌をつくしていない。左の端も右の端も、上限、下限、四つの角を全部観察してはじめて紙についての総合的な認識をもち、これをどうするかという処置の方法がでてくる。

 ハイライトの箱を見せて、どういう色をしているかと聞くと、十中、ハ、九はブルーだという答えが返ってくる。見せられただけの箇所で、いちばん目についた色を口に出すという脳反応の習慣になっているのである。ブルーの外に、白、黒、シールのグリーンに濃いブルー、たぱこの包み紙の銀色と六種類の色があるし、当人の目にも入っているのだろうけれど、完全に六種類を答える人は殆どいない。

 では一番多い色はと聞くと、やはりブルーだと言う。表だけを見ているのである。内部を見れば全部白だし、包装紙の片側は銀色・裏は白である。だから、白が圧倒的に一番多く、次は銀色、一番と思ったブルーが何と三番目である。
 これでは、立派なビルに入っているから立派な会社だと思って取り引きをはじめたら、一月目には倒産したという結果も引き出しかねない。

 ハイライトの箱の色だけでも、時間的変化、色の多少等を入れると、その詳細はここでは省くが、十六の観察角度が必要だ。十六角度を一瞬にして見てとるように頭を働かすのは、手も足も動かさず人から見せられたところの目につくものだけでその事物を認識し評価するのに比べ、十六倍に脳を使っている。
 つまり、人間はすぐにでも同じ時間で十六倍の仕事もできるのである。脳力開発とは、人間のもつ力を十分に発揮させ、習慣的に自分で制限している時の何十倍の成果を得させるようにすることである。

 肉親の死に会って悲しみ、嘆くのは人情である。これはロと手と足の動かし方で楽しみに変わるものではない。肉親の死という条件を変化させることはできない。これは、仕事の上で起こる悩みや嘆きとは本質的にちがう。このちがいを認識して、自己の脳力闘発をはかるならば、嘆きの人生は楽しく愉快な人生に変えることができる。

城野宏 論文集より

|||||||||||| 脳力開発とは |||||||||||||

◇◇◇◇◇◇◇脳力開発の3面◇◇◇◇◇◇◇

 

      @「心」の充実(精神の特性) ←原動力
      A「思考力」の向上(整理の力) ←プログラム
      B「知識」の拡大発展(材料の質と軍)←データ

――胸力開発指針集P.14

 

☆☆☆☆☆☆☆三大実行方針☆☆☆☆☆☆☆

 

三大実行方針

 

◇◆◇◆◇◆◇基礎習慣づくりの3面◇◆◇◆◇◆◇

この「基礎部」は次の3面に整理される。

@基礎部第1面:精神的姿勢の確立 ← 心の充実  ← 原動力
A基礎部第2面:思考万法の整備   ← 思考力の向上 ← プログラム
B基礎部第3面:実際知識の拡大   ← 知識の拡大発展  ← データ
 上記の3面は、それぞれ@は3項目、Aは5項目、Bは3項目の基礎部項目を有している。つまり、「基礎部」は合計11項目(後述A、B、C)の基礎部項目から成るわけである。

――脳力開発指針集P.43

 

☆★☆★☆★☆ A.基礎部項目第1面・3項目 ☆★☆★☆★☆

第1面:「精神的姿勢の確立」の3大項目
@自分で主体的にやる姿勢をつくろう ⇔ 人頼りの姿勢をやめよう

Aいつも進歩発展をめざす姿勢をつくろう ⇔ 現状に甘んずる姿勢をやめよう

B他人の利益もはかる姿勢をつくろう ⇔ 自分だけよしの姿勢をやめよう

――脳力開発指針集P.44

 

◇◇◇◇◇◇◇B.基礎部項目第2面・5項目◇◇◇◇◇◇◇

第2面:「思考方法の整備」の5大項目

@常に中心点を明らかにし、中心・骨組で考える習慣をつくろう(常に目的・目標を明確にする習慣をつくろう)
 
⇔ 中心・骨組、目的・目標等の不明確は混乱した習慣(枝葉末節にとらわれて中心・本質を損なう習慣)をやめよう。

A常に両面とも考え、どちらが主流かも考える習慣をつくろう (いつでも対比で考える習慣をつくろう)
 
⇔ 物事の片面・一面しか考えない習慣(物事の一部・一面だけ孤立して考える習慣)をやめよう。

B立場・観点を整理し、多角度から考える習慣をつくろう (多数の構成要素をいくつもの角度かう検討する 習慣をつくろう)

⇔ 一方的角度(立場 観点)からしか考えない習慣(ひとつの要素・方向しか考えない習慣)をやめよう。

C確定的要素から出発して考える習慣をつくろう (客観と主観を区別や整理して考える習慣をつくろう)

⇔ 確定的でない要素に振り回わされる習慣(客観と主観が混乱する習慣)をやめよう。

D行動のつながりで具体的に考える習慣をつくろう (概念と具体的中身はセットで、しかも連係的に考える習慣をつくろう)

⇔ 概念のつながりだけで抽象的に考える習慣(具体的中身とそのつながりをおろそかにする習慣)をやめよう。

 

――脳力開発指針集P44〜45

 

☆★☆★☆★☆ C.基礎部項目第3面・3項目 ☆★☆★☆★☆

第3面:「実際知識の拡大」の3大項目

@知識はすぐに使う習慣をつくろう ⇔ ペーパー知識(活字知識)のままで孤立させておく習慣をやめよう。

Aできるだけたくこんの物事に首を突っ込む習慣をつくろう ⇔ なるべく余計な事に関心をもつまいとする習慣をやめよう。

Bできるだけたくこんの人に接触する習慣をつくろう ⇔ 少数の人とつ声合うだけで、交際範囲を広げまいとする習慣をやめよう。

 

――脳力開発指針集P45

 


◇◆◇◆◇◆◇ 変革のための指針 ◇◆◇◆◇◆◇

 形式上のりーダ一の地位にある人が、必ずしも真のりーダ一というわけではない。その他位や権限や所得などが何であろうとも、周囲に対し本質的な影響を与えるだけの”変化の土台づくり”を地道に確実に進め得る人物こそ、人間としての本物のリーダーである。
 現在の自分の置かれている形式上の位置とか、周囲・環境の特性や出来具合とかは、すべて「現時点での条件」にすぎず、それは単なる”出発点”でしかない。
 真の価値は、これから遂げていく進歩発展にあるのであり、それは自らの努力で作っていく”創造的変化”のことである。この創造的変化のことをここでは「変革」と呼ぶことにし、以下にその「変革のための指針」をならべる。
 これは言い換えれば、”真のリーダーのための心得”でもある。

(1) 悪条件の中で建設を推進できる者が真のりーダーである。
      ――不足条件を整備していく”もと” を作ることこそ変革の中心

(2) 変革とは、それを具体的に不動の決心・覚悟として確立しないと始まらない。
      ――変革はまず一人から始まる

(3) 同志と協力者を一人ずつ増やしていくことが変革の過程である。
      ――点から面へ、そして主流に・・・・

(4) 変革という本質的変化には時間がかかるのである。
      ――自滅するな、そしてやめるな

(5) 着実にたんねんに、一歩ずつ歩め、一口ずつ食べよ。
      ――すぐできるところから、すぐにやるべし

(6) 他人や周囲は、言うことを聞いてくれないものである。
      ――物事は思い通りにならない方が通常

(7) 与えてもらうのを持っているばかりでは流されるだけである。
      ――誰がやるのか ?  自分は何をするのか ?

(8)  まず自分が変われ、さらに一歩変われ。
      ――それが変革の原動力

(9) レベルの高い方が苦労するのは宿命である。
      ――真のリーダーにとって、困難と苦労が生じなければそれは異常

(10) 嘆きの人生か、楽しみの人生か、自分の意志でとちらにもできる。
      ――何か真の損得なのか ?  かけがえのない人生にとって

――脳力開発指針集P.56〜57

 


☆★☆★☆ 目的と手段のピラミッド…手段(代案)は複数ある☆★☆★☆

目的(上位レベル)
   ↑
   ↓
手段(下位レベル)

目的と手段の体系的構造の中で
※容易に変更したり、ゆずったりしてはならない「原則」の範囲に属するレベルのものを「戦略」と言い、

※状況、条件に応じて柔軟に対応、対処していく(変更してよい、ゆずってよい)「非原則」の範囲に属するレベルのものを「戦術」と言う。
 ここに、戦術とは必ず戦酪に対して、手段の位置(関係)にあることを忘れてはならない。

――脳力開発指針集P66

 


◇◆◇◆◇◆◇ 観察におけるめやす ◇◆◇◆◇◆◇
     データ(材料・情報)の収集と点検`こ関する項目

◎ 「現状と歴史」

◎ 「共通性と相異性」

◎ 「一面を示す材料とその反面を示す材料」

◎ 「目立つ方の面と目立たない方の面」

◎ 「確定的な材料と確定的でない材料」

――脳力開発指針集P117〜118

 

 


☆☆☆☆☆☆☆ 応用編 基本手順 ☆☆☆☆☆☆☆

――脳力開発指針集P35

 

☆★☆★☆★☆ 中核的分析項目…測定角度(客観系) ☆★☆★☆★☆

@ 立場と希望(利害・価値追求)
  ……立場の特性、何と何の衝突か、立場と戦略

A 原因と条件
  ……内因と外因、主因(原動因)と副因(補助因)

B 普遍性と特殊性
  ……共通性と相異性、全体的と部分的、主流と非主流

C 変化面と不変化面
  ……現状と歴史、流れ・特性、長期面と短期面

D 戦略面と戦術面
  ……目的と手段のレベル構造、原則面と非原則面、固定軸部と流動部

  (注) 小文字部分は同系、関連項目(指針)である

―脳力開発指針集P120―

 

発売元:(有)孫子塾
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